京都音楽博覧会@梅小路公園

9月18日、京都音楽博覧会梅小路公園
台風接近の影響により、会場は予報通りの雨。しかし正午の時点では小雨だったため、主催者であるくるりの演奏からイベントが始まる。


くるりを見るのは初めてだったが、もっと深くまで聴いて歌詞をくだいて理解していきたいと思った。くるりが活動してきた20年間の厚みが出ていると感じたライブだった。(残念ながら途中からしか見ることができなかった。)


続いてフランス人のTete。日本語でMCをしてくれたのが嬉しかった。「(梅小路公園に降る雨を指摘した後)わたしのこころは、no rain!」と明るく話す。会場にいる人のほとんどがTeteを見るのは初めてだったと思われるが、曲に合わせて身体を揺らしたり手拍子をしたりする姿が見受けられた。初めて聴いたとしても楽しめるような音楽は強い。Teteの楽曲はフランス語(おそらく)だったため、歌詞の内容は理解できなかったが、それでも目の前にある音を存分に楽しむことができた。

三番手、矢野顕子。会場中にピアノと矢野さんの声が響き渡る。演奏の美しさに見惚れてウットリする観客。「途中からなら誰でも知ってると思います」と、いい日旅立ち。続いて「私の曲の中で一番愛されている曲を演奏します」と、ひとつだけを披露。今日の出演者であるMr.Childrenの桜井さんが参加しているBank Bandでもカバーされた楽曲だ。女性らしさと可愛さのバランスが絶妙だった。最後にくるりの岸田さんが登場。岸田さんは出てくると「ばらの花はやると思ってたけど、まさかいい日旅立ちが聴けるとは思ってなかったわ」と驚きの言葉。そして二人でPRESTOを演奏。

四番手はMr.Children。すれ違う人々のTシャツから察するに、このバンドを見に来た人が一番多いのではないかという様子の会場内。この日はMr.Childrenにキーボード、アコーディオン、サックス(とフルート)を足した編成。名もなき詩Tomorrow Never Knowsといった大ヒット曲から始まり、最新アルバムからMelody。そしてPIANO MAN、ランニングハイとフェスでは意外な選曲が続く。サニーさんのキーボードソロから、半音下げのしるしが始まる。「知っている人は歌ってください」と、足音 ~Be Strongを力強く歌い上げる。「次で最後の曲です」と桜井さんが発すると、すぐに「え~!」と別れを惜しむ声。「では最後に別れの曲を…」と言って少し間を置くと、「bye-bye…」と歌声が切なく響き、僕らの音。「君は9月の朝に吹き荒れた通り雨」という歌詞が、より憂いを増すような9月の雨空の下。悪天候によってさらにはっきりと姿を現した悲痛さが襲いかかるような演奏で、Mr.Childrenのステージが終わった。


転換中、突然「桜井和寿!」との声が聞こえてステージを見ると、そこにはくるりと桜井さんの姿が。岸田さんが「この曲がセットリストに入ってない」と指摘し、シーラカンスを演奏。独特の重々しさがしっかりと表現されていた。完全にここでしか見られない、贅沢すぎるコラボだった。


残すところ主催のくるりとオーケストラのコラボステージのみとなったが、しかし降り止まぬ豪雨。雨音だけでなく雷の音まで聞こえ始めたが、京都音博10回転を飾るくるりのステージが見たい、という思いでくるりの登場を待っていると、司会の大抜さんと共にくるりが現れた。そして、悪天候の影響によりイベントを中止することが告げられた。せっかくのイベント10周年、くるり20周年なのに、本当に残念である。激しく降る雨の中、悔しさとやりきれなさを胸に、会場を後にした。天候には恵まれなかったが、イベント自体はとても良かったので、来年もぜひ行きたい。

 

ここからはライブレポから離れて個人的に思うことを書いていきたい。
Mr.Childrenがフェスやイベントに出演する度に、「ミスチル地蔵」というワードが話題になる。(個人的にこの呼び方は本当の地蔵にとても失礼なので好きではないが。)Mr.Childrenを前で見るために他の出演者の演奏時に場所取りをしたり、Mr.Childrenだけを見たら帰ったりする客のことを指すらしい。
この「ミスチル地蔵」と呼ばれる人たちは、REFLECTIONから何を学んだのだろうか?「全く聴いたことのない音楽でも、凄く心が動く感動するライブができないか」という試みから開催されたFCツアー、その様子を収めた映画、REFLECTIONツアー。そこでMr.Childrenのファンは「未知の音楽でも心が動く」ということを知ったはずだ。知らなくても心が動くのはMr.Childrenの音楽、REFLECTIONに限ったことではない。他の音楽においても素敵なものは知らなくても感動するのは同じである。
これは個人的な解釈だが、今のMr.Childrenはファンに色んな音楽に出会ってほしいという思いがあって、対バンツアーを開催したり、他のバンドが主催するイベントに出演したりしているのではないかと思う。だとすると「他のバンドのイベントに行ってMr.Childrenしか見ない」のは、バンド側の気持ちを全く受け取れていないことになる。
だから「ミスチル地蔵」と呼ばれている人たちに言いたい。Mr.Children以外の音楽にも興味を持ってみてはどうだろうか、と。Mr.Childrenが出演しているイベントには素敵なバンドが揃っている。知らなくても十分に楽しめたり感動したりするような良いライブだって見られるはずだ。ぜひMr.Children以外に興味がない、というところから一歩踏み出して他のバンドも聴いてみてほしい。きっとその先に素晴らしい音楽との出会いがあるはずだ。

HAZIKETEMAZARE FESTIVAL DAY2 - Dizzy Sunfist

9月11日、HAZIKETEMAZARE FESTIVAL@泉大津フェニックス
ベストアクトはDizzy Sunfist。長くなるのでディジー以外のアクトは割愛。
「ハジマザには6年連続で遊びに来ています。出るのは今年が初めてです。やるぞー!Someday!」と、ここまでの誰にも負けない凄まじい勢いで始まる。続けてDizzy Beat、SULLEYと定番曲が続く。一呼吸置いて、あやぺたのMC。「4年前のハジマザに遊びに行った後、打ち上げで猪狩さんに、来年は出させてください!ってお願いしました。そしたら猪狩さんに、お前らなんかじゃ無理じゃ!って言われて、悔しくてその場で泣きました。泣いてたら猪狩さんに、泣くんやったら帰れ!って言われました。あれから4年。ハジマザに出させてもらいました!ヘイスミとディジーが同じレーベルやから出させてもらってるんじゃないです。カッコいいバンドって認めてもらえたから出させてもらってるんです。4年間でカッコよくなったところを猪狩さんに見せたいと思います。Joking!」今にも泣き出しそうになりながらも、ハジマザのステージに立つに至るまでの経緯を語ったこのMCを聞いた人の中に、心が動かなかった人なんていなかっただろう。その後のJokingはMCよりもずっとカッコよかった。ディジーの夢が叶う瞬間に立ち会うことができて本当によかった。

WILD BUNCH FEST. DAY2 チャラン・ポ・ランタン×桜井和寿

ワイバンのチャラン・ポランタンと桜井さんのコラボについての自分のツイートをまとめ直しています。ツイートを時系列順に並べただけで改変は特にしていません。

 

ももさん「チャランポランタンは色々な活動をしています。(中略)姉の小春は、なんと今回のMr.Childrenのツアーにもアコーディオンでサポートメンバーとして参加しています」
小春さん、アコーディオンで優しい歌を演奏。
続けてももさんが「ねぇくるみ この街の景色は」と歌う。
小春さん「このまま歌い続けてたら、本人が来るんじゃない?」
ももさん「…海の中から?」
フロア一同爆笑。
小春さん「今の僕はどう見えるの〜」
桜井さん登場、沸き上がる会場!
ももさん「ご紹介します。Mr.Childrenの桜井さんです!」
どこかいつもと様子が違う桜井さん。
小春さん「桜井さん、かなり酔っ払ってて。さっきまでずっと座りこんでたんです(笑)」
桜井さん「小春は今日もきれいだよ〜(完全に46歳の酔っ払い)」
ももさん「桜井さんは、動画で私たちのことを見てチャランポランタンのことを知ってくれたそうです。今日は今からその曲を一緒に演奏したいと思います」
チャランポランタンの曲、私の宇宙が始まる。ステージ以外の光は星しかないような環境で聴くこの曲は格別だった。


『私の宇宙』演奏終了後
ももさん「海の向こうから私たちの曲ではなく、Mr.Childrenの曲をやってほしいという気持ちが伝わってきます…。ですので、今からMr.Childrenの曲を一緒に演奏しようと思います」
小春さん「初めて邦楽で買ったCDがMr.Childrenで。中学生の頃、本当にアコーディオンにハマっていて。Mr.Childrenアコーディオンが入ってる曲があって、そのCDが邦楽で初めて買ったCDです。今日はそのCDの中の人と一緒にやれて光栄です」
小春さん「では、曲紹介はそのCDの中の人にしていただこうと思います。桜井さん、お願いします。」
桜井さん「くるみという曲を演奏します。」
小春さんがアコーディオンでしイントロを奏で、くるみが始まる。1番桜井さん→1サビ桜井さん&ももさん→2番ももさん→2.3サビ桜井さん&ももさん。
桜井さん、酔っ払いのせいか時々フロアに笑いが起こるほど音を外していたけど、演者も客も楽しそうにしていて、良いクロージングアクトだった。


『くるみ』演奏終了後
小春さん「では、桜井さんは飲み足らないと思うので、思う存分飲んできてください。ありがとうございました!」
ゲスト出演というより絡みにきた酔っ払いという感じだったけど、とても楽しそうなのが伝わった。
次に演奏された『愛の讃歌』で、ももさんが「桜井さんと二人で」と歌ったあと、すかさず「もう帰っちゃった!?」とツッコミを入れて、客から笑いが起こる。本当にステージを降りた後、すぐに飲みに行ってしまったのだろうか…。